寺田

Twitter:@yumaterada
2005年ゴールドマン・サックス証券株式会社に入社、不動産及び不良債権の自己勘定投資に従事。2007年にグローバル株式投資を手がけるヘッジファンドに転身し、ロンドン及び香港に勤務。2013年より現職。

海外で金融の仕事をしていた人間が、何故、今コルクにいるのか。

良きビジネスパートナーにであえたから

僕は新卒の時から2012年まで、金融の仕事をしていました。ちょうど香港のヘッジファンドを退職して、自分で新しい会社をつくろうと準備していた矢先に、コルクにであいました。当時は、日本のスタートアップの状況を勉強するために、創業して数年以内のさまざまな会社の方にお会いして、お話を伺っていました。そうするなかで、一人で起業するのではなく、良いパートナーと組んで新しいビジネスをつくりたいという気持ちが強くなっていました。

そして当時から大変お世話になっている方から、コルクという会社を作ったばかりの2人がいるから、一度ランチしないかとお誘いいただき、紹介されたのが佐渡島と三枝です。起業することについて色々と教わろうと思いランチにのぞみましたが、であってすぐに、彼らと組みたいと思いました。

作家のための会社、というコルクの理念は、当時から確固たるものがありました。僕は異業種から来ましたが、父親が作家ということもあり、佐渡島と三枝の理想や問題意識には、深く共感しました。一方で、この理念にもとづいて、具体的にどのようなビジネスを展開するか、すべて決まっているわけではありませんでした。それはもちろん、創業間もなかったという理由もあります。ただ僕は、創業4年目を迎えた今でも、状況は同じだと考えています。つまり理念は不動のまま、具体的なビジネスのあり方は、今後もつねに変化していくのです。

いずれにせよ、コルクには佐渡島と三枝という良きパートナーがいて、かつ、自分で新しいビジネスを作る余白が十分にありました。そして幸い、彼らも僕を迎え入れてくれたのです。

海外事業の具体的な目標とは。

著作権を国内外で運用して、長期的な視点で、作品の価値を最大化すること。漫画の原画が、アメリカの美術館のパーマネント・コレクションに加えられた例も。

僕はコルクで、おもに海外事業と全体の財務を統括しています。コルクは作家の方から著作権をお預りしているので、これを国内外で運用して、長期的な視点で作品の価値を最大化し、作家に還元することを目指しています。

小説・漫画ともに、主要国の出版社とは、もちろん取引があります。ただテクノロジーの進化にともない、各国の読者が本と触れる環境は変化しているので、それぞれの国の状況に対応する必要があります。例えばアメリカでは、サンフランシスコの会社が運営する北米最大の漫画・アニメプラットフォームで、コルクの漫画作品を毎週配信しています。北米の読者が、日本の週刊連載と同時に、漫画をデジタルで、かつ英語で読めるサービスを、この会社は定額課金で提供しています。海賊版もふくめて、あらゆるコンテンツが無料になる流れのなかで、注目しているビジネスの一つです。

著作権の運用は、出版だけでは終わりません。日本であれば、小説や漫画は、テレビドラマになり、映画になり、商品化されて、ゲーム化されて、テーマパークにまで入ります。これと同じことを、海外でも展開できるはずなのです。実際、日本の小説や漫画を原作として、映画やテレビドラマを作りたいという方は、アメリカ、ヨーロッパ、アジアにたくさんいます。そういった諸外国の才能と、日本の小説家・漫画家とをつなぐのも、コルクの仕事の一つだと思います。

直近の仕事では、漫画家の安野モヨコさんの原画が、アメリカのホノルル美術館のパーマネント・コレクションに加えられました。ホノルル美術館は、権威ある東アジア美術のコレクションの一つであり、そこに作品が入るというのは、極めて価値のあることです。ホノルル美術館のキュレーターの方と会話を重ねるなかで、安野モヨコ作品が、現代美術として高く評価されたのは、嬉しいことでした。もちろん安野モヨコさんは漫画家ですが、このように、漫画とはまったく別の文脈で作品が評価される可能性というのも、日本だけでなく、海外でビジネスをする一つの意義かもしれません。

佐渡島庸平と働くことについて。

佐渡島と働くのではなく、作家と働くのです。

それは危険な質問ですね。普通の会社であれば、経営陣や上司にあたる人間について気にかけるのは、当然だと思います。でもコルクは本来、佐渡島や三枝、もしくは僕と仕事するために入る会社ではなくて、作家と仕事するために入る会社です。

作家と一緒に仕事をして、著作権をお預かりして、ビジネスを作りだしたいと思う方であれば、コルクという場でできることは、無限にあると思います。僕たちは、そういう方にであえた時には、その方の才能を信じて、リソースを投じることのできる経営陣でありたいと思っています。

あえて佐渡島と三枝について述べるなら、彼らはそういった方々の才能を、しっかりと信じられる人間です。僕は二人に初めてであったときに、そんな信頼関係が築けるパートナーだと思い、彼らと組みたいと思いました。

コルクに向いている人間と、そうでない人間。

好き嫌いがある方、こだわりがある方と、新しいビジネスを作りたいです。

自分がやりたいことがある方、それにこだわりを持てる方は、魅力的です。自分の好き嫌いや、しっかりとした意見を持ち続けるのは、じつは容易ではなく、体力と気力を要することだと思います。でもエンターテインメントは、そういったこだわりや好き嫌いから生まれるものだとも思います。そんな方と机を並べて、仕事がしたいです。